写真撮るなら最低のマナーを

 最近、ちょっと呆れている事がある。それは、イベントなどでの写真撮影だ。ウディチコでも森村でも、彼らの映像作品を投影する中でフラッシュは無いだろう。勿論、公共の場で誰が何をしようと自由、写真も自由な訳だが、せっかくの雰囲気というものを心無いフラッシュが台無しにしている事に気づかない人が少なくない。まったく残念な事だ。ホールなどで主催者側がフラッシュ撮影を禁止していても、報道関係の人までもがパシャパシャ始めてしまうのである。最近の報道はカメラマンを記者が兼ねる事も多く、投影されたビデオ映像やスライドをフラッシュ撮影して撮れると思っているようだ。(結果は撮れない。念のため。)一人がやりだすと、次々にフラッシュがたかれる。まるで芸能人の記者会見の様にすさまじい状況だ。
 ウディチコのパブリックプロジェクションでも随分多くのフラッシュが焚かれていた。ウディチコも頭を抱えていた。あの投影された作品がどれほどの労力と多くの人の協力ででき上がったかを、勿論見る人は知る由も無いが、フラッシュ撮影が雰囲気を壊しているとなぜ思えないのだろうか。
 昨年、タイで森村のパフォーマンスを収録したときは、主催者の前説で「禁止」がきちんと説明されていて、地元の観客は誰もフラッシュを使わなかったし、報道陣もフラッシュなしで撮っていた。そんな良い感じの場所でも、無神経な人がフラッシュを使っていた。残念なことに、それは日本から来ていた人だった。
 確かに森村のイベントでは、写真を撮っても良いとなっているものも少なくないので、勘違いしていたに違いない。
 ただたとえ写真を撮っても良い場であっても、暗いシーンなどで、バシバシやられては流石に作家も困ってしまう。その場を壊す事は、著作権の侵害に当たるといえば大げさだが、完全な作品でなくなってしまう事と、鑑賞者が他にもいる事をもう少し考えて頂きたいと思っているのは、筆者も作家も同じだ。
  さらに付け加えると、写真を撮る人の中でインスタントカメラを使う人がいる。露出固定なのに暗い所が写る訳ないでしょうと言ってあげたいのだが、御構いなしに撮る人にはそんなことも御構いない。でも、あのフィルムを巻く音が以外に耳障りで、静かなシーンではカチカチカチと巻いている音がとても気になる。これはレンズ付きフィルムメーカーに御願いしたいけれど、巻き上げ音の静かな「静かに撮れるんです」を早急に製品化して頂きたい。最近の私の映像にはこのカチカチ音が結構入っていて、これも時代の記録かと諦めている。
 日本では桜の花見と言えば、なぜかブルーシートが敷き詰められ宴会が始まる。宴会は見ていて楽しいが、あのブルーシートは、せっかくの桜の美を台無しにしてないか・・。安くて大勢が座れるという利点はあるにせよ、せめてゴザなどの、もう少しその場に合った物で何とかならないか・・。自分の都合でその場の美を壊すという点で、フラッシュ撮影と筆者にはダブって見える。あまりに不甲斐ない。(2001.2 きしもと)

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