今回のモントリオール国際美術映画祭は数日遅く始まったので、前半こそ雪が降ったが後半は暖かだった。暖かと言っても、夜はマイナスになる。
バンクーバー経由で到着すると午後10時を回る。ホテルに着くと11時頃になってほぼ24時間の長旅の疲れがどっと出るが、今回はちょっと違った。今回スポンサーになっていたホテルがとても良かったので、それだけで少し疲れが取れた。旧市街の北側にあるそのホテルは古い建物の内装をリニューアルして昨年オープンした新しいホテルで、部屋も広く、ベッドも大きく、音のいいCDプレーヤーもあれば、ADSLのインターネット回線が部屋に来ていて大変快適だった。本来1泊の料金が380ドルだったのを見たときは、着てきた服を間違ったと思ったが、来年も是非このHotel Place d'armes(プラスダーム)にオフィシャルホテルになってほしい。
「ARTHOUSE: THE COWBOY AND THE ECLIPSE」
ジェームス・タレルのドキュメントで、とても色が美しい。温厚そうな人柄と光をテーマにした作品を美しく紹介している。
「FRANK GEHRY: AN ARCHITECTURE OF JOY」
ブラックウッドの作品としては、解説的でなく建築家の心情が出ていた。個性的な建物のためか、映像も美しい。
「L'HOMME DE VERRE」
チャイコフスキーの心理をダンスを用いて美しく仕上げていて、もっとも映画的に画面が作られていたと思う。ホモセクシャルであったらしい彼の、妻や恋人への想いと葛藤を、ダンスという表現を使い美しく面白く描いている。
「IMAGINE THE WORK」
ヘルシンキ美術館のプロダクションの人が個人的に作った作品。素朴ながら女性らしさと胸の想いを画面に伝えていて良かった。やっぱり、作り手の想いが伝わる事というのはいいなぁと思わせる作品。Helena Hietanenという作家の人の髪の毛を使った作品に興味を持った。
"LIMON"で参加のMalachi(中央)
「LIMON: A LIFE BEYOND WORDS」
すでに戦前にアメリカモダンダンスの先人だったホセ・リモンのダンスは驚き。30年代にあの様に踊っていた人がいたと知っただけでも私には新鮮だった。監督は30代半ばで7年間この作品に費やしたとか。監督はなかなかの好青年。NYからかわいい彼女といっしょに来ていた。
「MARKUS LUPERTZ」
ドイツの若手ディレクターが制作。私の友人が率いるケルンのカオス・フィルムの作品。素朴な作りだが、8ミリフィルムの映像などを折り混ぜた見せ方がなかなか良かった。同じ枠の上映のシュベルフェルのより印象的だった。
「LE MESSIE」
オープニングでも上映された。地球上の様々な宗教の矛盾を徹底的にヘンデルの曲「LE MESSIE」にのせて見せるもの。たまに出てくるテロップに意味がある(らしい)。宗教行事やそれにまつわる犯罪や戦争をダイレクトに描写。紛争地帯で瀕死の人を次々に突き刺したりする残虐のシーンは見たくないものがあった。統一教会の結婚式の映像もどこからか入手して使っている。ゴミ集積所のトラックからなだれ落ちてくるゴミに群がる子供たちの映像も強烈。
オーケストラ、合唱のシーンは美しい。この曲をこんな風に思って聞いた人はいないと思う。120分は疲れた。
「ONCE UPON A SLEIGH RIDE」
Leroy Andersonのドキュメンタリー。よく知られた彼の曲のフレーズ、オーケストラの意表をついた構成など、笑わせるものがあって楽しめる。エド・サリバンショーの映像などを使っていてとても愉快だった。インタビューに小沢征爾が出てくる。